女性の育毛剤成分「カプサイシン」とは~その真偽のほどは

カプサイシンとは唐辛子などに含まれている辛味成分ですが、このカプサイシンを摂取することで発毛効果があると言うことが、名古屋市立大学大学院の岡嶋教授によって明らかにされています。
その発毛効果とは、カプサイシンを摂取することで、知覚神経が刺激されCGRPと言うアミノ酸が結合したカルシトニン遺伝子関連ペプチドが放出されることから始まり、放出されたCGRPは、胃での刺激情報を脊髄から脳幹、そして頭皮を含む全身へと伝えます。
そしてCGRPは毛乳頭内の細胞に作用することで、毛根のIGF-1を増加させるのですが、このIGF-1はインスリン様成長因子と呼ばれるタンパク物質で細胞増殖効果を持っているため、毛包の炎症を抑える効果や毛髪サイクルにおける成長期の延長、および退行期や休止期の短縮、更には毛髪たんぱく質量の増加と質の改善が見込めるため、発毛や育毛の効果を期待することができると言うのが、カプサイシンの発毛効果です。
更にこの発毛効果は、CGRPの生成を促す効果を持つ、CGRPの材料とも言える大豆などに多く含まれているイソフラボンと言う成分とカプサイシンを同時に摂取することで、更に高い育毛効果を期待することができるともされています。

カプサイシンとイソフラボンの発毛効果については、岡嶋教授の実験により実証されており、5か月間、このふたつの成分を同時に摂取し続けた結果、実験に参加した薄毛男性の75%に症状の改善が見られたと言う結果も発表されています。
ところが、2012年の3月に、この岡嶋教授が関わった論文に捏造の疑いがあるとして、岡嶋教授と、その不正を指示したとする原田准教授には懲戒解雇と停職の処分が発表されており、論文捏造の内容としては、研究結果を示す画像の不正使用、また過去の画像使用などが挙げられています。
岡嶋教授が主体的に論文捏造を行ったわけではなく、あくまで原田准教授の指示に従ってと言う見方もできるのですが、いずれにしてもこの騒動が発生したため、カプサイシンとイソフラボンによる育毛効果、また岡嶋教授の行った実験結果に対する真偽が疑われることになり、この真偽は明らかにされていないのが現状ですが、育毛効果を得るためにカプサイシンとイソフラボンを同時に摂取できるようなサプリメントなどが、この騒動後も発売され続けていることは、真偽を判断する上でのひとつの材料になると言えます。

ただ、CGRPやIGF-1と言う物質の存在抜きにしても、カプサイシンやイソフラボンにはそれ以外のところで発毛や育毛の効果を期待することができるのは確かなことで、まずカプサイシンは、摂取することで体温を上昇させるため血行を促進する作用を持っています。
頭皮の血流が悪くなると、毛母細胞の分裂に必要な栄養がじゅうぶんに届かなくなるため薄毛や抜け毛などが発症しやすくなりますから、カプサイシンを摂取すればそれを防ぐことができると言う具合です。また発汗作用もあるため、頭皮に適度な潤いを与え、乾燥を防ぐと言う効果も期待できます。
一方のイソフラボンは、女性ホルモンと似た働きをすることでも有名な成分で、女性ホルモンは発毛や育毛に対して大きな役割を果たしている成分ですから、この分泌量が加齢などによって低下すると薄毛や抜け毛が進行しやすくなります。
そのため、イソフラボンを摂取することで女性ホルモンの分泌量を補うことは、女性にとっては勿論のこと、男性にとっても男性ホルモンによる過剰な皮脂分泌などを抑えることなどが期待できるため、育毛効果を見込むことができると言えます。
ただしカプサイシンは辛味成分ですから、過剰に摂取し過ぎると胃腸に負担をかけてしまう可能性もあり、カプサイシンとイソフラボンによるIGF-1増加による育毛効果を期待する場合は、一味唐辛子であれば2gと豆腐半丁が1日の推奨摂取量とされていますから、これを守るようにして下さい。

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